まずは前回のおさらいですが、普通養子とは、養子となっても実の親との親子関係はそのまま継続になるので、結果として養親と実親との二重の親子関係が発生します。

 

これに対して、特別養子では、『法律上は実親との関係を消滅させた』うえで、養親との間に実の親と同様な関係を形成することになります。

 

普通養子では、実の親との関係も続くので、結果として養親子関係が不安定になることは珍しくなく、相続や扶養をめぐってトラブルが起きることも少なくありません。

 

そこで、子供の幸せを最重視して、実の親との関係を法律上断ち切って、不要なトラブルを未然に防ぐために特別養子という制度が設けられました。

 

特別養子では、縁組の成立により、養子は養親の嫡出子となりますが、ここまでは普通養子となんら異なるところはありません。

 

しかし、特別養子が普通養子と違うのは上述のとおり、特別養子の縁組が成立したときから、特別養子と実の両親およびその血族との親族関係が終了する』点です。

 

戸籍の記載についても普通養子と特別養子では異なります。

 

普通養子では、実の親との親子関係も存続しますので、戸籍上も一見しただけで養子であることが明らかな記載となります。

 

これに対して、特別養子では縁組が成立すると、原則として実の親の本籍地に特別養子一人だけの戸籍が編成されます(氏は養親の氏)。

 

その後、一人だけの戸籍から養親の戸籍に入籍することになります。

 

続柄の記載も、普通養子では養子と記載されますが、特別養子では長男とか次男との記載になり、一見しただけでは特別養子であることが分からないように配慮されています。